南水元二丁目で建設中でした、町会会館が年末に竣工しました。
広くはない土地でしたが、町会会館という用途と角地という特性を生かし、
建蔽率最大までに計画しました。
また、30人程が集会室に入ることができる広さを確保しつつ、建物の
剛性を高めるために、1階に倉庫、玄関、トイレ、給湯室、事務室といった
小さめの部屋を配置し、壁に筋交いを入れ、建物外周は構造用合板で覆う
構造になっています。
上下階で世帯がまたがず、かつ隣戸境の壁は遮音シートや石膏ボードを重ね張りし、15cmの壁厚なので、
賃貸住宅でよくある騒音問題は、起こることがなさそうです。
1階にはキッチン、トイレと浴室があります。キッチン廻りにスペースがあるので、小さめのダイニング
テーブルもしくは収納家具が置けます。水廻りと居室が完全に離れているので、居室で落ち着けますし、
水廻りは浴室とトイレが別れており狭さを感じない工夫がされております。
2階の洋室は9㎡程ですが、大きめのクローゼットにロフトがついているので、最低限の家具・家電の
設置ですみ、単身世帯には楽しい造りのアパートです。
確認申請では、建物用途を「長屋」としています。「長屋」とは、各住戸と住戸の間の界壁以外共有
する部分がなく、各住戸に外部から直接出入り出来るものです。マンションなどの「共同住宅」は2
戸以上の住戸が階段、廊下、ホール、エレベーター等を共有しており、建築基準法は特殊建築物で、
敷地内通路や消防設備など数多くの規制があります。
長屋や共同住宅の界壁は建築基準法第30条によって、小屋裏または天井裏に達するもののほか、構造
を遮音性能に関して政令で定められる基準に適合し、大臣が定めた構造方法にしなければいけません。
ということで、界壁には高性能のグラスウールを入れ両面に、遮音シートを貼ります。さらに両面に
12.5㎜の石膏ボードを2枚貼ります。その構造が小屋裏まで達します。界壁は15cm以上になり、遮音
性に期待がもてます。
住宅は、役所または指定確認検査機関による検査と瑕疵保険のために第三者機関による検査があります。
木造3階建てですと、役所または指定確認検査機関による検査は中間検査と完了検査の2回、第三者機関
による検査は、基礎配筋検査と躯体検査の2回です。
今回の中間検査及び躯体検査は、柱や梁、筋交い、ホールダウン金物などの金物が確認申請時の図面の通りに
入っているかの検査です。図面の通りに入っているのは当たり前なのですが、ビスがしっかり締まって
るかなども確認します。また、屋根などの防水や建物配置の確認なども行われます。
木造の3階建ては、2階建てに比べて金物や耐力壁も多く、確認項目が多いのですが、構造計算で厳しい基準
をクリアし、さらに検査も合格すると耐震性を認められた建物になります。
この検査が終わると、天井組や電気配線などの工事にはいっていきます。
南仏・プロヴァンス風の外観ですが、洋瓦ではなく、金属瓦を使用しております。
とても軽く、柱・梁等の荷重負担を軽減し、地震災害により安全です。
また、一枚板を取り付ける工法で施工性も良く、工期の短縮も図れます。
また、外壁は旭トステム外装㈱の窯業系サイデングを使用しています。サイディングで目立っていた板と板との継ぎ目が目立ちにくい工法で、見た目も良く、シーリング切れを防ぎます。また、セルフクリーニング効果もあり、雨などの水滴が付くと、流れ落ちます。
日本の風土に合った提案が出来たのではないかと思っております。
1階が30坪ほど、2階が半分の15坪程で下屋が美しい木造2階建てです。南仏をイメージした外観ですが、日本瓦の1/6の重量の金属瓦を採用し、外壁は窯業系のサイディングと軽量にすることで、耐震性が上がりました。
1階がLDKと和室、寝室に水廻り、2階が個室という間取りです。和室は書院、床の間、床脇、仏間、押入れ、上部に神棚がある本格的な和室です。書院には阿部興業の障子が映えます。仏間や床脇の美しさを見ると、大工さんや建具屋さんら職人さん達の質の高さを感じます。広さが十分あるので、階段や水廻りや収納に余裕を感じさせる住宅です。